わらで作った船にわらの人形を乗せて、前の浜で燃やしてから海へ流し厄病や悪いものを退散させます。
◇ ノット正月(無形民俗文化財)
正月神を藁った舟に乗せて送り出す行事で、村の女性だけでおこなわれる行事として全国的にも珍しく、2011年3月に国指定の「記録を残すべき無形民俗文化財」の指定を受けています。
※「ノット」は神への祝詞(のりと、のっと)から由来しています。
■正月17日、この日には各家に於いて「ツメの札」と称 する木札を10~20枚作り、表に「咄岆咣鬼神」、裏に「噫々 ☆セイマン」と墨で書き込み、そのツメの札と洗米、神酒、赤 飯、田作、ナマス、小銭を入れたおひねり1つを 木の 膳に入れ、藁1把と共に持って前の浜に集まる。
■午後12時すぎになると組合の鄕使が振鈴を鳴らして時 を知らせる。村中の各家に1人の女が浜に集まると、持 ち寄った藁で長さ180センチ程の藁船を作り、町内会よ り贈られた「崴德丸」と書かれた紙幟をたて、後部の舵 部の所にはワラ人形を縛りつける。更におひねりをほとき、その白紙でコンヨリ (祇縒)を作って帆網として船 に張り渡し、船はできあがる。こうして憂船ができあが
ると洗米少々と神酒が船にかけられ、午後2時頃に火を 放ち海に向って押し出し、流される。
■浜に集まるのはほとんど女性であるが、まず浜に来る と彼女たちは適当な石を見つけ、その後ろにツメの札を 立て、石には赤飯、ナマス田作などを供え海に向かって を合わせ、海神をまつってから藁船作りに取りかかる。
こうして浜に立てられたツメの札は昔は子どもたちが奪い合い、それをメンコ代わりにして遊んだ。
この行事が終わると浜に立てた以外のツメの札は家に 帰り神棚に3枚、恵比寿棚に2枚、床の間に3枚を供える。そしてこの日で正月の飾りを取り外し、浜で焼く。
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